広報誌 翠の輝(みどりのかがやき)コメントより

2023.04.01.

施設における人生会議(アドバンスケアプランニング)について
今年2月に看取り研修に関わり、改めて施設の看取りについて考えてみようと思います。3年以上の長い間のコロナ禍で、今年3月13日からのマスク解禁(個人の判断等)5月8日からの5類への移行等を受け緩和されつつありますが、まだウィルスは生きています。私たち基礎疾患を多く持つ高齢者が利用されている施設にとっては、緩和されることはどこまでなのか常に悩ましい判断を強いられています。思い返すと昨年から今年初めにかけて当法人にも感染者が発症し、入院が出来ず施設療養を余儀なくされクラスターになりました。その時に2025年問題が頭をよぎりました。つまり団塊の世代が後期高齢者に達することにより、介護・医療・高齢者世帯・死亡者数の急増・急性期病院の負担が増え、介護医療従事者の人手や病床数が不足するというものです。日本の医療制度は非常に手厚く世界に誇れるものです。その為私たちは今まで「公助」にかなり頼ってきました。しかし、これからは、入院したくても入院できなくなり、また直ぐに退院させられると言ったことが多くなっていきます。さらに在宅診療や看取りへのニーズも益々高まりつつあります。 厚労省から2018年に「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」が出され、病院における延命治療への対応を想定した内容だけでなく、在宅医療や介護現場で活用できるようなガイドラインです。
そこで示されている内容は心身の状態の変化等に応じて本人の意思は変化しうるものであり、医療・ケアの方針や、どのような生き方を望むか等を、日頃から繰り返し話し合うこと(=ACPの取組)の重要性を強調しています。一度、機会があれば手にとって頂けると有難いです。当施設では、今後も主治医を含め複数の専門職との話し合いのもとケアチームを組み、看取りケアに取り組んでいきたいと思っています。社会福祉法人慈豊会  山翠苑施設長 水島尚子

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